ソーダ/田島オスカー
 

君が正しかった
涼しい顔で言い放つ声は
激しく震えていて
あたしは
泣いてしまうしか術が無かった

どうしてもっと早くから
前を見ることをやめなかったのだろう
あたしはいつまでも独りだと
きっと認めたくなかった
指に挟まれたマルボロの薄荷の香りが
いつまでも人を辱めてゆく
そんなことはわかっていたのに

泡がいくつも生まれては消えてゆく
君が正しかったと
声だけで言うようになってしまった彼の
振動だけでも
指先で掴みとってしまえたらよかった

今日は雨
また泡が生まれて
あたしの爪先だけを狙っている

 
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