羽/プテラノドン
 
 耳という耳を串刺しにして歩く避雷針。
レコードの針。世界を夕暮れにするための音楽。
 
 夕闇の中で僕は、蝙蝠と一緒に飛び回る
真っ白な一羽のニワトリだった。梁から梁へ
飛びうつる大工のような身のこなし。その後を、
紐もなしにひょこひょこついて歩く間抜けな梯子。
子供の時分じゃ超えられかった壁。そして今や、
崩壊した壁の一画。私たちが学ぶべきことがいっぱいある。
まず自由としてのルール。或いはそのルーツ。
スーツケース一つで商いをする老人の台詞。
彼が口にした「瓦礫」の詩の一節。
「測量士に扮したコスモスによって
街は再建されるであろう」叫ばれる罵声。
散乱する卵の殻。突如、落とし穴として現れる
車輪の外れた車椅子。車輪を転がして遊ぶ子供たち。
積み重ねられたタイヤの山。ドブ川のそばにある
廃車置場。爪先立ちで演説して歩くニワトリ―
 コンニチワ、コケ コッコウ、ヨロシク、ネ。
タイヤの内側に溜まった雨水。
水面に浮かんでいた羽。ニワトリの、僕の
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