晩夏への手紙/モーヌ。
 



八月 二週 また 入院暮らし...
ガラスの塔のなかで、優しいひとらに、接しながら、病と添い寝して。
夏は、晩夏を迎えて、( もう、立ちつくし、亡くなっているのかも、しれない。 )
失われたものに、培われた時から、ぼくは、また、つづきを、はじめていた。


.........


そこでは、季節が、わからない。完璧な、防音と空調があって、採光の明るさだけが、夏を喰らっていた。ぼくは、夏を忘れ、感覚が、絵のなかの海のように、凪いで、固まりつつあった。
病院の、食堂・休息室の窓からは、築地市場、隅田川と、虹の橋、お台場、羽田、東京湾、房総半島...貼りつく千葉の、小さ
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