こころの力/恋月 ぴの
 
沈み逝く船の羅針盤に自らを委ね
生の尽き果てる瞬間まで
総ての記憶をこころに刻み込みたい
それがいかほどの苦痛であるとしても
わたしは見つめていたい
確めていたい
わたしという人生の行く末
今年の秋も
幾つ台風が訪れるのだろうか
風雨に備えるのは早すぎることはない
せめてもと夏と秋の緩慢な境目を
指先で探ってみては
つづることばの在り様を
何処へと持って行きたい訳でもなく


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