エビと太陽/ブルース瀬戸内
 

口からプクッと泡を出します。
泡は不規則に揺れながら
海面に向かっていきます。
エビは泡をじっと見ます。

すると一瞬間
何か偶然の産物のような
幾重かの光の屈折によって
泡の向こうに元の円形の太陽が見えました。
その結果、さっきまで
太陽が笑っているように見えていたことが解りました。
その一連は
ちょっとした宗教的儀式のようでもあります。

エビは2本のヒゲをくるりと一周させて
概ね喜びましたが
元の円形こそ歪んでいるといえるかもしれないと
少しだけ考えましたが
嬉しさですぐにそのことを忘れてしまいました。

エビが海底から太陽を見ています。

太陽がそもそも円形なのかぐにゃぐにゃなのか
実は私たちだって解ってないのかもしれません。

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