青と青の日/木立 悟
淡く背に触れ
手は消える
ふとふりかえり見るそのときに
手のひらの街
晴れ伝う水
まだらのひと
かけちがえた
ひとつのボタンだけが支えのように
光ともうひとつの光を歩むひと
影の少ない午後の道から
無音は無音にころがるかたまり
まばたきのなか満ちてゆく
見えない水のいきおいは増し
明るく褪せた角からのびる
遠まわりの道を倍にする
むなしさにはじまりはなく
既にむなしさになっている
銀の葉の応えになっている
(望む明日はもう来ません
でもそのままの水
そのままの鳥です)
横の線は涼やかに
さらにさらに消えかけながら
街の縦を聴いている
泣きはらした目と
同じ高さの肩のあいだに
空への道はそよいでいる
水から水へ歩むひと
ひらいてはとじる手のひらに
銀はひとつまたひとつ咲く
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