甘いミルクキャンディー/よだかいちぞう
ぼくはミルクキャンディーを毎日舐めていた
生まれたときからずっとだ
だからいつも舐めるミルクキャンディーがどんな味をするのかなんてわからない
そんなぼくとおなじ
ミルクキャンディーを舐めつづけている
そのひとが
今日ミルクキャンディーを舐めるのをやめたのだ
そのひとは
これが自由の味だといって
ぼくたちに云いまわって
いる
ぼくは自由の味ってなんなんだいと
その人に聞くと
自由の味
それは自由の味だよ
おれにもわかんねぇよ
あのいつも舐めてる飴の包みを
剥がさなくていいってことだよ
まいにちまいにちおれらはあの包みを剥がしているじゃないか
もううんざりだとかお
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