名前はかき消される/山崎 風雅
 
 人の波をかきわけ漂う
 季節と共に出会い
 季節と共に別れ
 何かを残して時代は移り行く

 がんじがらめのしがらみ
 欲がエネルギーになって
 前進する人々の行進

 人生をあきらめない
 光りが射す方へ
 香ばしい香りのする方へ
 僕は毎日向って行く

 同じ日などありえない
 理屈じゃないこの人生
 頭のシュミレーションなんて
 役にたたないこの人生

 自由を夢見てベッドにもぐり込む
 雨は静かに降っていて
 時計の針は勤勉に働く

 何もかも壊して
 新しいものを作りたい衝動
 自然にタバコに手が伸びて
 ゆらりと揺れる煙の先に浮かぶ
 愛しい人との別れが目に染む

 やがて名前は波の雫にかき消され
 戻らぬ日々を懐かしむ

  



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