望みは眠り落ちる時に/梔子
てしまう 脆い脆い灰になりたいのです
それ以上は望みません これさえも望んで申し訳ありません
火葬など大層なものをお使いにならなくて結構なのです
もがき苦しみ死んだ後 干乾びたわたしの汚い死体に火をつけていただくだけでかまわないのです
それだけを望みます その他はなにも なにも望みません
灰になれさえすれば わたしはなにも望むことはありません
ぼろぼろと脆く崩れる灰になれば 春のそよ風で飛ばされ無くなってしまうでしょう
見届けなくていいのです 火をつければ後はほうっておいてかまいません
わたしはひとりで 脆く崩れる灰になり 風に飛ばされ無くなりたいの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)