シュルの夜/
結城 森士
の感覚を意識しながら
落ちていく記憶の中に明るい未来を見ている
意識の旋回する泡沫の明るい未来を見ている
悴む手で鉛筆を弄くる華奢な笑顔を見ている
(今でも教室に座って授業を受け続けている)―
涙の猛追を振り切るように述懐する
笑って鼻をかんで唾を吐き捨てる
その横に音楽があり
青年は音楽的寒波に襲われ
虚ろな口唇を唾液で湿らせて
実景を見れない目
熱い思い出と
まるで聞こえていない耳
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