天国への調べ/ajisai
 
一匹の黒猫が地下の廃道を歩いていた
今はもう使われることのない遺跡の廃墟
ここはその下、網の目の様に入り組んだ迷路
所々崩れて光の差すところもあるが
ほとんどが真っ暗闇、不気味なところだ

そんな暗がりの中から音楽が聴こえてくる
竪琴にあわせて歌声が響く
音のするほうへと猫は歩みを進めていった

そこには若い男が壁にもたれかかって
竪琴を爪弾きながら歌を歌っていた
男は子守唄を歌っているようだった
 もうおやすみなさい 闇はもうほらすぐそこに
 光はだんだん遠ざかり
 もう今では見えなくなった
 風の吹くままに流れ流れて
 辿り着いた古代の都
 ここに砂となって
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