カブトムシを捕りに/ブルース瀬戸内
す。
オスが樹液をたくさんかき出して
メスと一緒に飲んでいます。
男の子は捕獲のタイミングを窺いながら
それを見ていましたが
仲良く樹液を飲むカブトムシ達を見ていると
なんだかそっとしてあげたくなって
そのままクヌギ林を後にしました。
結局、男の子は
大きなカブトムシを
捕まえることができませんでしたが
肩に担いだアミには
いまや誇らしいものがたくさん入っていそうで
それはそれで夏の夕焼けが美し過ぎるのも相俟って
何かのメタファーのようでもあります。
でも
男の子は本当は
虫かごを忘れた故の
決断をしただけかもしれません。
帰り道の途中から
男の子は
走り出しました。
もうすぐ、夕飯です。
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