降り来る言葉 XXIV/木立 悟
 

土のにおいはそれだけで翼で
暦を深く切り取ってしまう
星と葉の描かれた紙の文字盤
暦のかけらを回す指さき


どこかへ向かう列とは別に
何かを待ちつづける列がある
門の前には水鳥の群れ
猫を背負った水鳥の群れ


さえずるものの実る弦
夜にうたい 夜になる
終わらぬ戦い 終わらぬ響き
たなびく音の朝がくる


曇のかけらが地にとどき
門は放たれ 鳥は猫を置いて飛び去る
めざめかけた小さなうた
金と緑に照らされるうた


巨きく遅くひろがる朝に
歩みの影が重なってゆく
炎の消えた食卓にも
翼と楽器と暦の上にも


針金を折るように窓をしめると
瞳はまだ外にいて
みなもとへ向かうものたちの
揺れる灯の列を見つめている














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