夏のメッカ/チアーヌ
だからもう二度と会えない
夜中の3時あなたは100キロ以上のスピードで
ブレーキを一切踏まず
コンクリートの壁に激突して行った
警察は事故だって言うけど
それは事故だということにしておいたほうがいいんじゃないかという
それだけのことらしい
あなたはいつも悩んでいた
袋小路を出ることができなくて
あなたはいつも捨てられないものを抱えていた
自分を捨てるしかなかったの?
袋小路を抜けるのは簡単なことだと
あなたはふとそう思ったのかな
あなたの魂はあの硬い壁をすり抜けて
向こう側へ行ってしまったのかな
あなたが死んでもう10年になるね
あそこには今
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