朝に出た幽霊/ぽえむ君
何の間違いか
朝にこの世に出てしまった
しかもよりよって
大都会の大きな駅の改札口にだ
どういう原理でなのかは
こっちにいる科学者たちでも
解明できていない
ともあれ
普段は生きている人間には見えないが
出てしまうと見られてしまうらしい
実にうらめしい原理だ
これだけの大人数を前にして
何をどうしろというのだ
季節も少し違っているし
とにかく時間が合っていない
そもそも安らかに寝ていたいのに
これではうかうかと浮かんでいられない
それにしても
みんな急ぎ足で一方向に進んで
この先に何があるというのだろう
そろいもそろって魂が感じられない
奇怪ばかりで謎である
誰も自分の存在に気づいていない
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