夢を見る/未有花
 
時々鮮やかな夢を見る
誰かが微笑む夢を見る

白いテーブルの向こう側に
時がさらさらと流れてく
それは風のように足元を流れ
微笑む人へと続いている

時々せつない夢を見る
誰かを愛する夢を見る

青い三日月のささやくとき
愛がゆらゆらと溶けてゆく
まるで生まれる前からそこにいて
愛する人を待っていたの

やさしさはガラスのなか
閉じ込められて出られない
蒼く悲しそうに泣かないで
私には出してあげる力がない

時々なつかしい夢を見る
誰かのやさしい夢を見る

赤い花びらの香りを乗せ
風がきらきらとそよいでく
いつかこんなふうに風に吹かれ
やさしい人といた気がする
戻る   Point(14)