骨まで見たいと骨しか見たくないのあいだ/カンチェルスキス
 
りも変わってしまうんだろう、こんなふうに。
「電線切れるとさ、やっぱやばいね」というおれに、
「どうして?」と花沢さん。
「真っ暗になるだろ」
「当たり前じゃん」
 これで終わりだ。商店街のシャッターが一斉に閉められる音と映像がおれの頭に浮かぶ。日曜日の正午だと言うのに。
 近くにいるけど、すごく遠い。


 誰かおれのことをほどいてくれないかな、とおれは思ったりするけど、腹の調子もあるし、今、ほどかれたりあるいは誰かをほどいたりするのはたぶん無理だ。緊張が緩むか過緊張して漏らした液状のクソで溺れ死んでしまう。まあ、おれが思うに、何でもタイミングが大切だってことだ。


 電線垂れ下がる街は夕刻過ぎても真っ暗。小腸の中を歩いてるみたいだった。小腸の中を歩いたのはずいぶん前のことだ。



 <<川元緋呂子さんとの連散文。




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