骨まで見たいと骨しか見たくないのあいだ/カンチェルスキス
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まあ、こんなふうに誰かにほどかれたりするのはいいことだ。理想は自分で自分をほどくことだけど、誰にでもできることじゃない。ほどかれてる瞬間を感じることはとても気持ちのいいことだ。眠くなるような、いろいろやることはあるけど、眠っててもいいみたいな、そういうことが許されてるような感覚の底、そこにいられる。花沢さんといたあの頃、おれはそうだったのかもしれない。ほどいたり、ほどかれたり。ただ問題だったのは、最終的にはお互いを固結びし合ったことだった。ほどくのは無理だった。切断するしかなかった。体に密着していたから血が噴き出した。
今頃、花沢さんは名前を変えたり手の指を一本増やしたり
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