いつもと違う通勤路/松本 卓也
咽るような熱に包まれた朝
日向を避けて裏道に入る
いつもと違う通勤路
ほんの少し吹いている風が
滲んだ汗がへばり付く
ワイシャツを冷たくして
川沿いに伸びる道
太陽が広げる両手を
少しだけ避けていられる
信号も人通りもない
車もめったに通らない細道を
いつもよりゆっくり歩く
ごみを漁るカラスがいて
使われない公衆便所があり
小さな朝顔が笑顔を咲かせて
変わらないと信じていた毎日に
小さな変化を生み出せたから
これからもずっと感じていける
いつもと違う通勤路
いつもと違う風景が
いつもと違う心地を包む
戻る 編 削 Point(1)