対決!VS フラワー団総統(雨の日と紫陽花とMr.チャボと)/角田寿星
 
ぼくはそれらをながめてばかりいた
会場には通夜の花弁がこれでもかと舞い落ちる

花 花に抱かれるような通夜の席上には
親族の影はみあたらない
フラワー団員とわずかな友人たち
母親を囲んで 怪人アジサイ男の思い出に
花を咲かせている

ぼくはといえば
フラワー団総統と差し向いで愚痴を聞いてる
総統はすっかり酔っぱらって呂律もまわらない
あいつはドクターストップを振り払って
フラワー団に恩義を感じて闘いに赴いたんだ
母ひとり子ひとり
ひどい暮らしをしていた
たったふたりの人間を誰も助けてあげられなかった
それは誰のせいだ 誰のせいなんだ
おまえは おまえは

「おまえは倒すべき相手をまちがえてる」

いや それは
次から次へ刺客を送ってカラんでるのはそっちでしょーが
といいたかったけど
覆面に隠れた総統の眼は真剣で
怪人たちの 明日の運命を占うような表情を一身に受けて
正座して無言のまま こんこんと説教をうける

雨はまだやまない
公民館のせまい庭に
紫陽花が咲き乱れている


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