夏/葉leaf
 
焼く
少年は思う
夏が夏を死ぬとき
僕も僕を死ぬことができるだろうか

空には目に見えない起伏があることに
少年は気づいてしまった
どのような憎しみでも
にぎやかな放物運動の後には
空に吸着する
少年の影に彫られた頚椎には
殺意が環流する
預言する
透析する
どんな呼吸でも
土の脈拍によって打ち消される
どんな心臓でも
(木肌に結晶する磁力)
に突き通されて(前転するめまい)
を管の肉と置き換えて(日光の砕片)
へと少しずつ生き急ぐ

夏は終わり続けている
母は生まれ続けている
少年は感じる
ひとつひとつの雨粒の中でも
母は分裂していることを

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