俺の言葉/草野春心
俺の言葉は恥部だ
むしろ密やかならんことを請う
ずぶ濡れでカラカラ笑う骸骨だ
俺の言葉は赤んぼだ
届く日を待つ恋文のように
脚も無いのに歩こうとする心臓だ
夜明けを待ち
やがて夜を待つ
生み落とされる もっとずっと前から
溺れるためだけに
プールの横で準備体操している
言葉はただ
食われて吐き出される水
そしてその中にも
また言葉がつまっている
マトリョーシカみたいに
真っ昼間から掻き鳴らすギターより乱暴に
言葉は俺自身だっただろうか?
俺の言葉は酒だ
正気の狂気だ
いつまで書けばいい?
なあ、
おい?
終わっちまうかいっそ
人生ごと綺麗サッパリ
俺の言葉は死んだ
詩んだ
その亡骸を詩と読んで あざ笑われてもいい
俺の言葉は死んだ
俺の言葉は、
戻る 編 削 Point(1)