十一代目の雀/杉菜 晃
雀の歌を喚いていたんだ
そこで俺は不遇をかこつなんざ止めにして
雀にならって歌ってみたわけよ
それが次の歌だ
勿体ぶるわけじゃねえ ただの腰折れよ
―うらぶれて帰郷の我を迎へしは十一代目の雀なりけり―
腰折れでも本心だ
分かるように 注釈すると
十一代目なんかどうでもいいんだ
ことばの綾よ
十代でも六代でも五代でもかまいやしねえ
はっきりしているのは
十六年前の雀は一羽残らず
土になっていたってことよ
もしかしたら
あの天の星屑になっているかもしれんさ
夜になると
この過疎村は真っ暗で寂しい限りだが
天の川はいちだん明るくなっているからな
星雲が濃淡の星を散りばめ
網に入った夥しい魚みたいにきらめいて
だーっと宇宙の果てへと
うねりおちていくんだ
壮観だぜ
一身の不幸を嘆いちゃいられねえよ
まったく
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