竜の眠る森/ajisai
 
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そこにいたのは子犬ほどの大きさの
翼を持った小さな竜だった
竜は眠たげに目を擦りこちらに顔を向けた
琥珀のように透き通った瞳だ

やっぱり竜はいたんだ

可愛らしくもあるけれど
小さいながらに雄雄しく精悍に見える

僕と竜はしばらくの間見つめあっていた
僕が微笑みかけると
竜は瞳を輝かせてそれに答えてくれた

しばらくすると竜は首を伸ばして
大きく口を開けて欠伸をした

それを合図に僕らは別れた
背を向けて歩き出すとすぐに後ろの方から
ピュー ピュー
といびきが聞えてきた

僕は誰にもこのことを言わず
ずっと心のうちに秘めておく
僕は竜と見つめあいながら
暗黙のうちにそう約束したのだ

竜の眠る森がある
それは僕だけが知っている秘密
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