エンドロール/木賊ゾク
まだここにあなたはいた
片足だけ残って、小石を崩していた
篠突く雨に耐えかねて、隻脚は交わるように
ユグドラの樹の上に、交差した根に添えた
あなたの隣に倒れこんで、首に見えた時計が動く
あどけない顔は白く、微笑みはそこにはない
カリバーンは名前ばかり、助けるばかりで
文字盤はそっとアヴァロンを、瞳の奥へ映した
夢から覚めると、図書館にいる
机の上にある、ファンタジーを閉じる
隣にいるあなたを、抱きしめて
両腕の幻想を、いとおしく思う
アヴァロンは消え、ユグドラの樹の下で
片腕に錆びた刀が、私に死ねというようで
もう動か
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