石 【ici】/山本 聖
 

こんなんでしょうか

こころが小さく固まって
ひとつのくだらないけれどいとおしい瘤へと昇華して
そして苔を集める、動かぬひとつの絶対的存在であるかのように
わたしのこころと呼応しあうこんなわたしのちっぽけな病は
転がしていのちのみずに溶かしてやったら喜びの声をあげるのしょうか
わたしのこころは
それでもいつかどこかでまた石になって
夏の夕立のような強い匂いを放ちながら産声をあげるのです

石は
わたし自身でもあり決して砕きつくせぬ石自身でもあり
宝石でもあり森の葉陰の虫の住まいでもあり苦悶でもあり歓喜でもあり
病でもありあなたの微笑みや憂鬱の現象体でもあり孤独でもあり幻でもあり
それなのに、
それなのに
そんなんではないのです

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