「コンビ二の猫」/はなびーる
 

真夜中のコンビ二エンスストアに
いそいで駆けこんだら
あたたかい、垢じみた
猫の毛の匂いがした
うす茶色の肌とうす茶色の目をした
店員の青年がこちらを見ていた

鮭のおにぎりを手に取ったら
「それはもうすぐ賞味期限切れだから
 こっちのがいいよ」
とウィンクをした
別のおにぎりを持ってレジに行ったら
猫の匂いは、青年そのものの匂いだった

「漁師町に棲むのら猫だったら
 こんなに苦労しないのにね」
猫はするりと、耳元でささやいた

     (猫は賞味期限
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