ポエティック・メランコリー・シンドローム/岡部淳太郎
――Sに
すべての結果に原因があり
物事は (心の中の事象でさえも)
そのまっすぐな道を歩いているだけであった
だが
垂直に落ちる滝のようにひとつの感情が
私の元へと集まってきて
凝縮され 形づくられ
それは私の指向をあなたの元へと送らせた
ポエティック・メランコリー・シンドローム
ふたたび あなたのせいで
私はこの世界が詩であることを知る
世界は (あるいは世間は)
そこに生息する人びとの
すべての感情や思惑を内包して
今日も日毎に太りつつある
だが
この大きな入れ物は
それらのすべて
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