ポエティック・メランコリー・シンドローム/岡部淳太郎
 
      ――Sに



すべての結果に原因があり
物事は (心の中の事象でさえも)
そのまっすぐな道を歩いているだけであった

だが

垂直に落ちる滝のようにひとつの感情が
私の元へと集まってきて
凝縮され 形づくられ
それは私の指向をあなたの元へと送らせた



ポエティック・メランコリー・シンドローム
  ふたたび あなたのせいで
    私はこの世界が詩であることを知る



世界は (あるいは世間は)
そこに生息する人びとの
すべての感情や思惑を内包して
今日も日毎に太りつつある

だが

この大きな入れ物は
それらのすべて
[次のページ]
戻る   Point(8)