小さな命/ajisai
 
息を吐いた
それがこの赤子の最期だった

黒猫は死神の姿へと戻り
赤子の魂をそっと優しく抱きあげた
安らかな顔で眠っている

教会へ捨てたのは母親のこの子に対する
最後の愛情だったのだろう
せめて天国へ行って
幸せになって欲しいと願って

死神は赤子を連れて
明るくなり始めた空へと羽ばたく
何もしてやれない、助けることもできず
ただ死を見取ることだけが死神の使命
死神は自分の無力をひしひしと感じていた

抱いていた赤子がふと目を開ける
死神ににっこりと笑いかけ
きゃっきゃっと笑い声をあげる

ああ、この子の魂が天国で救われますように
死神は強く願った



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