『チク、タク』/しろいぬ
 


チクとタクを交互に鳴らし

僕等針の上で器用に踊る

盤上(ばんじょう)に刻まれた命数を横目に

白く煤(すす)けた心を、軽く踏み付けた


「疲れたのならお休み」

「暇潰しに、覚めぬ夢でも観たら良い」


チクとタクを交互に鳴らし

乗せて響くはしゃがれ声

現実を張り裂かんとして敗れた

年老いた、弱者の歌声

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