ワンルーム/恭二
君は知らないだろ、今僕が、カップラーメンにお湯を注いでるの。
君は知らないだろ、今僕が、靴下の片方を探しているの。
君は知らないだろ、今僕が、缶コーヒーを飲んでいるの。
君は知らないだろ、今僕が、たまった洗い物を半分だけ片付けているの。
君は知らないだろ、今僕が、MDにダビングしているの。
君は知らないだろ、今僕が、自分の身体で遊んでいるの。
君は知らないだろ、今僕が、コンビニに行こうか止そうか迷っているの。
君は知らないだろ、今僕が、君がドアの鍵を開ける音を聞いているの。
薄い壁の向うの君。
君は知らない、僕が、君に密かな興味を抱いてるのも。
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