まひる  ひびき/木立 悟
 



陰に傾く風の段
昇る背のうた 色の段
去る朝に向け振られる腕に
空に光にたなびく水旗


棄てられた明るさの街を駆け
風に剥がれたかけらを歩み
曲がり角の影の息を踏み
置き去られた熱の段を踏む


上と下にしか飛べない光
見えない筒を描きながら
かわいた足音の呼びかけを
暗がりに暗がりにくりかえす


氷のなかの空気の色は
ほんの数時間前に
水の傾きと戯れた虹
還ることを知らずに空を見つめる


花と骨 花と骨
下へ下へと入れ替わり
降る暗がりを受け取る手
踏みおりる踏みおりる熱の段


鉄を確かめ 打つ音が
風を線に冷やしては
青と青のゆがみを越えて
鉱の地平に伝わってゆく













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