ラヴなステーショナリー その1/恋月 ぴの
きれいに消し去って欲しい
あなたの腕で
わたし自身では消せなかった
こころのなかに棲みついたもの
胸騒ぎのようなもの
きっと消せる あなたなら
その腕でわたしを抱き上げて
森の奥深く連れて行って
そして
恥じらいに頬染める
オーロラ姫でもあやすように
あなたは優しい腕まくら
ふたり唇を重ね数を数えだして
いくつまで
ここのつまで数えたら
気になってしまう
つるんとした滑らかさ
つまんで鼻の穴になんか近づけて
きゅんと匂い嗅いでみたら
消しゴムみたいな
あなたの腕は
初恋の懐かしい匂いがして
消しカスを
そっとティッシュに包んで捨てる
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