心の檻/ajisai
毎日が命綱なしの綱渡り
いつも極度の緊張の中にいた
何度となく足を滑らせ
地面に叩きつけられる
心も体も疲弊してゆく
翼を捥ぎ取られ自由を奪われ
綱を渡ることだけを強要される
次第に感情を失い
瞳からはいつも涙が溢れる
涙で何も見えない中
全身の感覚を集中し綱を渡る
感覚も曖昧になりいつも地面に転落する
こんな事に何の意味があるのだろう
飼い慣らされた私には
ここしか生きる世界はない
この世界から解き放されるには
死ぬしかない
死の淵まで落ちていった私に
一筋の光明が差す
ふんわりと温かさに包まれ
別の世界へと運ばれた
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