待つ/かや
 
長い陽も沈むよう
医院の外灯が付いて
傘の影が三つにひらく
バス停にひとり

何も捉えぬ目で
車道の先に見た夢も
呆気なく流れて
ちっぽけで哀れな足を
ざぶざぶと濡らす

雨粒は傘に跳ね腕に跳ね
地面に還るけれど
冷え切った体は
どこへ向かいどこへ帰る
右から左から光に晒され

水玉傘を回してみても
溜まり濁るばかりの
出ぬ声を掻き消して
諦めさせるバスが来る



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