主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。/とうどうせいら
 
あれは忘れもしない
一年前の8月6日
仕事を終えて
家に帰ると
あなたは待っていた

フリルのお母さんエプロンを
ひらひらさせて

おかえりなさい
待ってたよ
ばんごはんの支度が
できてるよ

長い舌をちろちろ出して
オオアリクイが
キッチンから出てきたの

すぐに

ごめんなさい
シンガポールと
間違えてしまいました


きびすを返して
玄関に戻って
帰ろうとすると

玄関には
彼の靴と
わたしの靴が
ちゃんと並んでて
そこはわたしの家だった

いつもご苦労だから
ぼくが
ごはんを作りに来たんだ

オオアリクイは

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