「 梅の花によせて 」/椎名
ほころびかけた梅の花びらに
そっと手をかざして春の陽を浴びる
冷たい風にほほがこわばるけれど
なんだかやさしい陽射しに
こころのたががゆるむようだ
あの日きみのくちびるから零れたさよならが
ふっと胸に浮かんで消えた
今日はこんなにやさしい気持ちになれたから
あの日の哀しみも忘れられる
冷たい風に負けじと顔を上げて咲き誇る
この梅のように
新しい春に向かって歩いてゆこう
季節が間違いなく巡るように
人も何度も新しい人生を歩くことができる
そうだよ
人は強い生き物なんだ
こんな儚げな梅でさえ
北風に負けずに花を咲かせるのだから
もっともっと
強くなれるよね
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