8月の爪/Lucy.M.千鶴
 
うなじを わたる風は
なまぬるく

きみの 吐息を
想い出させる

空には でかくて
細い月

きみが たてた
背中の 爪痕のよう

息もつかずに
愛をかわす

夜露も汗と
共に 散る

狂おしい
二匹の けものに なれ

やがて
深い森の 朝靄の中

世界は かわらず

周り続ける
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