サイレント/霜天
 
今日は、夏草に混じり
涼やかな声が運ばれていった
どこかずれた休日は
雨に掴まれて、離れられない

人とは違う夢を見ている
そう思いながらもう一度目を閉じると
いつか聞いた歌が繰り返されていく
思い込みは、朝の
回っていく世界に向けて


どうしたって
そんなことを何度つぶやいて
そんなふうに何度靴を履き違えただろう
繋いでいる手を
支えている、手の
温もりを覚えていてくれるから
いつか途絶える風だとしても
明日が送り届けてくれるなら



生きている
その証になりそうな痛みを
誰もが抱えていることを知っている
紡ぐ言葉は、ひとりよりも


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