リターン/AKiHiCo
 
白いシーツの上にしな垂れたキミを
優しくゆっくりとそこへ

抗う事なくシーツに埋もれて
髪の乱れも気にせず
見開いたその瞳には何が映っているのだろう
歪曲する部屋の家具が畝って渦になる
僕が中心で逆さまになって
キミの世界の中には僕はいないのに

あの時僕に手を差し伸べてくれたキミを
どうして振り払ってしまったのか
細い腕が折れそうな程に華奢で
指はまるで枝のようだった
あまりにも白い肌からは悲しみが滴って
僕はそれを救わなければいけないと
不意に神の声が僕の背中を押した

命はなんて脆いのだろう
見開いたキミの眼に僕が逆さまに映る
裏切りとかそこには最初か
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