*レィビー*/かおる
こに
淡い薄紅色の米粒ほどの花々がその名の通り
茎に根元から先端まで まるで朝顔の蔓のように
螺旋状に駆け上がっているでしょう
ここがあたしのお城
花はあたしと一緒に天に向かって伸びていって
きっといつかアルカディアにたどり着く
それなのに
ハッパはタンポポみたいに地べたに張り付いていて
これが現実と教え諭しているのかしら
花言葉は思慕 ねじりん棒の花束は誰の心をほどくのか
あたしは 知っているはず
ごきげんよう 鳶色のお兄様
素敵な夢を召し上がれ
と、お礼にとそれはとろけそうな大紅蟠桃をいただきました。
見上げると、いつの間にか降るような星空、
蛍袋のカンテラはコーヒー色に溶け出して、
まんまるおつきさまが笑っておりました。
月の淡い光を浴びて
たくさんの命を糧にしているオオカミ君を
百獣の王にも似た黄金色に浮かび上がらせています。
そんなある夏の日の出来事でした。
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