天響的黄金/木立 悟
冬の陽は降り
地は紫になり
雪は一言に昇る
翼は一瞬を負い
朝を蹴立てて
音は姿を撒いてゆく
雨のつづき
戻らない色
薄目をあけた午後の
窓に映る抱擁
すべて重なりあうもの
重なりあい独りのもの
空を放ったあとの願いの
傷ひとつない熱のように
夜の川を越えてゆくもの
氷の下にひろがる紅葉を
ひとつひとつ踏みしめて
花と涙が互いを呼びあう
こんなにも近くにいることさえ知らずに
手のひらと光は伝えあう
言葉と言葉の間の無から
広きものが生まれる様を
真緑の道をひとりかがやき
通りすぎてゆく黄金の背を
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