晴れ雨/松本 卓也
 
少し空の色が変わった

青を縫うように散った雲から
柔らかな雫が降りていて
やがて窓から見える景色を
雨が包んでいくのを知った

そういえばずっと前に
君に話した事があったよね

きっと今僕らの関係は
晴れた日の通り雨のような
空が気まぐれに落としただけで
すぐに無くなってしまうって

君は少し不満げに
そんなことないって
言ってくれてたけど

日曜日の昼間
窓の外を晴れ雨を眺める
今僕は一人きり

今だって瞼を閉じてみれば
君の笑顔を思い出せるのに

雨はもう止んだはずなのに
国道を走る車の列が
微かにぼやけて見えている

僕はまだ君の言葉を
忘れられないままだけど
空はもう何事も無いように
陽射しをただ照らしていた

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