親父/虹村 凌
びる事を忘れさせたのだ。
悔しさから、惨めさから、失意の底から這い上がった時、
待っていたのは何時も、何時も俺を迎える暖かい言葉じゃなかった。
俺は生まれるべきじゃなかったのか?
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、神経性繊維腫。
それでも育ててくれた。学費を出してくれた。
なのにどうして、認めてくれなかったんだ。
どうして否定し続けたんだ。
解せない。
親父の言葉は、今でも私を縛り続け、何かを止めさせる。
この一点だけ、あなたの教育は間違っていたと言いたい。
どうでもいい事を褒めないでくれ。
俺が誇った事を、どうして褒めて呉れなかったのだ。
親愛なる我が父へ、いつの日か。
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