路地/佐藤伊織
 
路地
曲がり角や
塀の隙間

溢れて、揺れて
透明な線を残す

そんな隙間に隠れて
今日をやりすごしている

等しいものを
等しいとして

アスファルトに
等間隔に並べられた
家やビルに
入る資格を持たない

隙間から漏れる音を
聞いて
輪郭が ぼやける

口々に 口々が 開き
音が 耳から はじけて まわるので

歩道も
駅のホームも
みな
資格を持たない
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