「 鬼火。 」/
PULL.
。
呪われた魂の火が、
かくも悲しいものか。
揺らぐ燐光は、
蒼白き死者の顔。
果てへと続く葬列は、
声なき鬼の声。
おぞましきは、
鬼の姿にあらず。
人の心なり。
月を喰らう、
鬼の幻野。
果てへと続く、
骸の列。
櫻草の上、
風に撫ぜられ、
虚ろ笑うは、
髑髏。
鬼が逝く。
今宵もひとり、
鬼が逝く。
ああ、
鬼の葬列とは、
かくも美しいものか。
了。
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