青年時代/古河 セリ
 
虚空を望むと広がる視野
ぎりぎりと絞られているのが嘘のように
《いま》から《いま》へと動いている

かなしみの海原が轟いている
黄昏のしじまの中で
わたしは世界を見ているのだ

浮標はとおく炎に溶けこみ
風が揺らす
ぐらついた影は夢想しながら躍っている

いつか思い出すだろう
わたしはかなしみの光景に酔っていたことを

木々が鳴る大地を
離れることはできないというのに

かなしみの海原
それはいまも夢幻の一刻を刻み続けている


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