風の吹く夜/
結城 森士
黒く闇に染まる硝子窓よ
僕の声を知らないか
風に押されゴトゴト音をたてる
個室の扉
僕の声を知らないか
あの娘の写真
外は風が呻いている
風よ 僕の声を知らないか
風よ
僅か100年も昔であれば
あの娘の顔もつと忘れぬよう
じっと見つめたことだろうに
呻くな風よ
あの娘の 声を忘れてしまった
戻る
編
削
Point
(3)