風の吹く夜/結城 森士
 
黒く闇に染まる硝子窓よ
僕の声を知らないか

風に押されゴトゴト音をたてる
個室の扉
僕の声を知らないか
あの娘の写真

外は風が呻いている
風よ 僕の声を知らないか
風よ

僅か100年も昔であれば
あの娘の顔もつと忘れぬよう
じっと見つめたことだろうに

呻くな風よ
あの娘の 声を忘れてしまった
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