沈んでみても、何も知らないままだった/霜天
 

道は二つに分かれていますが
それでも歌を口ずさみながら
私はどこか崩れていくの、です

(それが癒す、ということならば)


同じく、朝にも
誰かの声は消えて
同じく、朝にも
新しい顔に恋をする
沈んでみても、何も知らないままだった
誰かの声が聞こえて
誰かが言葉に直していく

それは空を埋めた四月の桜
もう鳴ることもない夏のサイレン
八月は、同じように繰り返す朝に
もう誰も、泣くことはない
戻る   Point(9)