美視中/秋也
 
感じる視線を
それが美しい
それとも恐い
みんなが見つめるある日の夕焼け
ひたすらに綺麗
風景が綺麗なのではなく
視線の集中があまりにも感動的
凶暴な闇の始まり
祝すは凶悪な赤雲たち

転じて緋へ
彼の好きな色
みんなが涙で歪んだ視界を必死でクリアへ戻そうと余計に泣く
涙一筋零した彼が言った
「僕が死んだら、これ以上に皆は僕の死体を見てくれるかな」
「わからない、ただきっと凄いことになるよ」
「僕は生まれた時からなにも持っていない」
「そんなことはないよとは言えないのが悲しいね」
「だから誰に負けてもいい」
「だからこそ誰も君には勝てないんだね」
「でもこ
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